翻る衣装の袖、濃艶な化粧、舞に流れる紅
喜怒哀楽で巧みに装い
瞬く間に全てが変わりゆく
「伝統」は新たな創造の基礎となるものです。国光劇団は伝統とモダンを融合させることにより、社会の動きと演劇を結び付けようとしています。文学や歴史、伝説などから新たに構想を練った演目は、新編崑劇『釵頭鳳』、『梁祝』、台湾三部局『媽祖』、『鄭成功と台湾』、『廖添丁』のほか、『大将春秋』、『地久天長釵鈿情』、『牛郎織女天狼星』などがあります。このほか、様々なテーマの伝統演劇の上演も行われています。演劇を時代の変遷と結び付け、伝統文化の記憶を呼び覚まし、観客の皆さまから熱い支持を集めています。
新しい世紀に足を踏み入れた今、国光劇団は京劇の現代化と文学化に向けてより一層の努力を重 ねています。舞台芸術の美を斬新に切り拓き、文化の香り高い「台湾ならではの創意」をご覧いただいています。近年の新編作品には、『王有道休妻』、『三個人児両盞灯』、『金鎖記』、『青塚前の対話』、「伶人三部曲」の『孟小冬』や『百年戯楼』、『水袖と胭脂』、『十八羅漢 図』、『関公在劇場』などがあります。現代文化の潮流にマッチした作品は、演劇界から文学界へとジャンルを超えて歩を進め、各界から好評を得ています。その活動は台湾・中国文芸界と学術界からも重視されています。
京劇は伝統的な芸術表現を代表する伝統芸能で、中国の古典文化から生じた表現技法をその源としています。2010年に国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)によって人類共通の無形文化遺産に認定されました。国光劇団は伝統に立脚しつつ、積極的にその要素を広めて現代美術にもインスピレーションを与え、より幅広い芸術表現を模索しています。交響楽(2007年『快雪時晴』)、モダンダンス、打楽器の演奏、視覚効果を生かした舞台(2009年『オーランド』)、シェークスピア劇(2012年『クレオパトラと彼女のピエロたち』)など、ジャンルを超えた交流を行いながら、国光劇団の積極的な創作姿勢と多元的な活力をご覧いただいています。